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Hitachi Universal Storage Pratform V
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RAIDシステム事業部長の岡見吉規氏
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株式会社日立製作所(以下、日立)は5月15日、新ストレージソリューションコンセプト「Service Oriented Storage Solutions(以下、SOSS)」を策定。その第1弾製品として、仮想化機能を進化させたディスクアレイサブシステム「Hitachi Universal Storage Pratform V(以下、USP V)」を発表した。同日から販売を開始する。
今回新たに打ち出されたSOSSでは、顧客業務に重点をおいた統合ストレージソリューションを提供することが主なテーマ。顧客自身が複雑なシステム構成やその運用を意識しなくても、ストレージ資産の最適な活用を実現できるよう、製品やストレージシステムライフサイクル全体を通じたサービスを提供していく。
USP Vは、このコンセプトに基づいた第1弾製品となる。従来の「Universal Storage Pratform(以下、USP)」で採用していたディスクアレイによる仮想化技術をさらに進化させるとともに、性能・拡張性を強化したのが特徴。中でも最大の特徴は、ボリューム容量の仮想化機能「Hitachi Dynamic Provisioning」を搭載したことだ。
「従来、ストレージを複数の業務で共用する場合、各業務の容量需要を予測してボリューム容量を設計していた。では、この予測が万が一はずれた場合どうなるか。予測より容量需要の多い業務があったとして、そのボリューム容量が満杯になったとしても、すでに別業務に割り当てられた空き容量を使用することは不可能だ。結果、ストレージ全体としてはまだ空き容量があるにもかかわらず、ボリューム容量が足りなくなった業務用のためだけにリソースを追加しなくてはならないという事態に陥る。これは非常にむだな使い方」と、RAIDシステム事業部長の岡見吉規氏は語る。
そこでUSP Vでは、Hitachi Dynamic Probisioning機能によって、各業務に割り当てるボリューム容量の仮想化を実現。物理容量よりも大きなサイズの「仮想ボリューム」を定義し、割り当てることを可能にした。さらに、実際にデータを格納する実記録領域「プール」を複数の仮想ボリュームで共用することで、“すでに別業務用に割り当てた空き容量を利用できない”というむだを排除できるようになる。これにより「ストレージ投資対効果の向上や、ランニングコストの改善が図れる」(岡見氏)という。
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USP Vの概要
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Hitachi Dynamic Provisioning概要。仮想ボリュームを定義し、データはプールに格納していく
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実記録容量のプールが一杯になったら、リソースを追加する
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新ストレージソリューションコンセプトの内容
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併せてストレージデバイスの仮想化機能も強化。機種の異なる外部ストレージを仮想的に統合し、一元管理を実現する「外部ストレージ接続機能」を進化させ、その仮想化容量を従来比7.7倍の最大247PBに、ボリューム数を従来比4倍の最大64Kボリュームに拡大した。
またハードウェア自体の増強も実施。従来のUSPのアーキテクチャを進化させ、内部データ転送能力を最大106GB/秒に、HDDとの転送速度を従来比2倍の4GB/秒に、さらにプロセッサの処理速度を従来比2倍に向上させた。これにより、サブシステムとして従来比1.4倍の最大350万回/秒の大量トランザクション処理が可能になったという。
日立ではUSP Vに加えて、新製品にあわせて強化したストレージ管理ソフト、さらにはアセスメントや設計・構築、維持運用を支援するサービスも提供。これらを一括してSOSSというコンセプトで打ち出していく方針だ。
価格は、USP Vが1億1025万3000円から。ボリューム容量仮想化機能が220万5000円から。
なお発表会ではストレージソリューション事業全体の戦略についても説明された。今回のUSP VのようにSOSSに基づいたソリューションを提供していくほか、2007年2月の米Archivas買収を端緒にコンテンツアーカイブ市場への展開や、グローバルマーケティング強化としてワールドワイドにおける製品・コンセプトの統一を図っていくとのこと。こうした施策により、同事業としては2010年度までに、2006年度見通しの3400億円から4000億円以上への売り上げ拡大をめざすとした。
■ URL
株式会社日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/
ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2007/05/0515.html
( 川島 弘之 )
2007/05/15 16:10
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